自分が利益を得るという意思をもって物を所持することを占有と言います(民法180条)。
占有には更に所有するという意思をもって所持する「自主占有」と、所有する意思を持たずに所持する「他主占有」とに分類することが出来ます。
この両者は占有権限、つまりどのような権利に基づいて占有しているのかという事実を踏まえながら、客観的に区別されます。
例えば売買取引によって得たものを所持するのは自主占有にあたりますが、その売買が無効であった場合でも自主占有は認められます。
これは本人に所有するという意思があるためですが、同じ理由で窃盗犯が盗んできた物を所持する場合も自主占有とされるのです。
他主占有の代表例としては、賃借権や質権に基づいて他の人の物を占有しているケースが挙げられるでしょう。
自主占有であれば民法162条以下に定める取得時効や、同239条の無主物先占によって所有権を取得できることがありますが、他主占有にはこうしたことはありません。
又、191条の占有者の損害賠償についても自主占有と他主占有の場合では、その賠償の範囲に違いがあります。